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Column

SmartHRの従業員リストとオフィスステーションProの顧問先従業員台帳を自動的にAPI連携し、更新する方法とは

執筆者:宮沢 征史郎

2025.10.14

私も含め、社労士にとって「顧問先企業の従業員個人情報データがきちんと整っているかどうか」というのは大事なテーマだと思います。
しかし「企業側で導入しているSaaS」と「社労士事務所で使用しているSaaS」の二重管理によって、どちらが最新かわからなくなっていたり、台帳が更新されてももう一方に反映しなかったりというデータの不整合がしばしば起こるので、複数のSaaSで一社の個人情報を取り扱う場合「手作業によるデータ更新作業」が必要となってしまいます。せっかくAPI連携するSaaSを導入しているのですから、この更新作業を自動化したい、と社労士の誰もが思っているはずです。

そこで今回は「Yoom(ユーム)」を使用して、企業様でお使いのSmartHRに登録された従業員リストを、社労士事務所で使用しているオフィスステーションProの士業用顧問先従業員台帳に自動的に登録・または更新することがYoom株式会社様のご協力により可能となったので、ご紹介していきたいと思います。

SmartHRとオフィスステーションのデータ連携について

連携のエラー要因と改善

まず、すでにYoomの紹介ページで「SmartHRとオフィスステーションを連携して、SmartHRで従業員が登録されたらオフィスステーションにも登録する方法」があるので、Yoomを導入さえすれば簡単に台帳情報が反映するのかな、と考えていたのですがそう簡単にはいきませんでした。

Yoomには、元々SmartHRもオフィスステーションもAPIで情報を取得できる仕組みがあります(※オフィスステーション連携はYoomチームプラン以上の契約のみ)。
今回はYoom株式会社様から、こちらを活用し、

1. SmartHRに従業員情報が登録または更新されたら
2. オフィスステーションの従業員台帳の詳細情報を取得してきて
3. 同じ社員番号がなかったら新規登録、あったら既存のオフィスステーション台帳を更新する

というフローボット作成をご案内いただきました。
しかし2番目の項目をいくら試してもエラーが出てしまい、オフィスステーション側の企業に登録されている従業員情報を取得することができませんでした。

従業員台帳の詳細情報の取得がエラーにより実現できず

勘の良い方はお分かりかもしれませんが、われわれ社労士事務所や社労士法人が導入しているのはオフィスステーションではなく、企業側IDを複数発行できる「オフィスステーションPro」なのでエラーが発生したのです。Yoom内でアプリ連携をする際、オフィスステーション側のIDを入力する必要があるのですが、そもそも顧問先企業のIDを取得し連携するといった仕様が存在しないようでエラーが出ていたようです。

Yoom株式会社様のセールスチーム、カスタマーサクセスチームの皆さまのご協力により(その節はありがとうございました!)、新たにオフィスステーション側のアクションに「顧問先シリーズ」を追加いただき解決できました。

オフィスステーションPro版にも対応したアクションを追加していただきました。

上記の画像にて、上段の方が元々あった単一企業加入のオフィスステーション版のアクションで、下段の方が新たに作成いただいた社労士事務所加入のオフィスステーションPro版ということになります。
これで複数の顧問先企業様のSmartHRと、オフィスステーション台帳を連携することが可能になりました。

SmartHRとオフィスステーションとのフォーマット突合

あとはSmartHRとオフィスステーションそれぞれの従業員台帳で、入力方法が違う項目を揃えていきます。例えば、

性別については、
SmartHR → 女性(female)
オフィスステーション → 女(2)

基礎年金番号については、
SmartHR → 1234-567890
オフィスステーション → 1234567890

といったように、微妙に違うルールで定義されている項目は、API連携してもエラーが起きてしまい反映できません。そのため、SmartHRで取得したデータを「AI変換」というものを使用しオフィスステーション用に変換してゆきます。

AI変換を使いオフィスステーション用のフォーマットに変換していく。

SmartHRとオフィスステーションとの連携仕上げ

必要情報がすべて揃ったら、あとは新たに作成いただいた「オフィスステーション顧問先シリーズ」の登録や更新につなげてゆくだけで、フローボットの完成です!

オフィスステーション顧問先シリーズの登録・更新につなげていく。

流れとしては、顧問先のご担当者様のほうでSmartHRに入社予定者や退職者、住所変更など、従業員リストを更新するたびに、そのトリガーとなる項目によってYoomのフローボットが自動的に立ち上がり、オフィスステーションが更新され、社会保険手続きや給与計算等に使用する重要な情報が常に最新となりつつ、データの二重管理による不整合も起きなくなります。

こうして、2つのSaaSをつなげることにより、データの不整合がなく、日々のマスタデータ更新作業から解放され、労働社会保険手続がよりスムーズに行えるようになりました。

SmartHRとオフィスステーションとの連携まとめ

今回は、SmartHRとオフィスステーション間のデータ連携を、Yoomを活用して実現する方法をご紹介しました。異なるSaaS同士のデータを、AIで連携させ自社内フローを構築することで業務効率化を図ることができますので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

また、弊事務所では同様の課題を抱える方へのご支援も承っております。業務効率化を図りたいが社内のリソースが不足している、試してみたがどうもハードルが高い、などのお悩みがございましたら、経験豊富な社労士がサポートさせていただきます。まずは気軽にご相談ください。

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